暁美ほむらと僕

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灯を消し、月明かりのみが部屋を照らす。


艶のある長い黒髪は月の光に輝いており、櫛を使わずに手で梳いてやると、それはまるで絹糸のような感触で、指の間をくすぐったい感触が通った。


僕は彼女の黒髪が堪らなく好きで、こうして寝る間際に髪を触る時間が何よりも楽しみだった。


指の間をくすぐる柔らかい感触に快感を覚え、ある倒錯した思考へと至る。

髪を手のひらへ一房取り、それを口へ含んだ。甘い石鹸のような香りが口腔へと広がっていく。その様な状況に置いても彼女は抵抗する様子なく、為されるがままであった。

そんな彼女の態度が僕を嗜虐的な行為へと導いた。口から離し、また髪を手で梳いてやる。恋人の頬を撫でるように優しく、愛おしく。


「・・・すぅ」しばらくそうしていると、彼女の寝息が微かに聞こえてきた。一体どれほどの時間そうしていたのか、僕にとってはそれは時間を忘れる程、愛おしく尊い行為であった。

そうして僕は鼻を彼女の髪にうずくめ、横になる。ほむらの黒髪に、時を忘れさせてくれる香りに埋没していった。